相続税の手続きは、亡くなって10ヶ月以内に申告書を提出し、相続税を支払し、完了します。ただし、3年以内に一部の方については税務署が税務調査を実施します。この税務調査が完了することにより、相続税の手続きが実質的に全て完了することになります。
1. 税務調査の種類
税務調査とは、申告した内容に漏れがないか、また申告内容が正しいかどうかを確認するために行われるものです。
そして税務調査には、強制捜査と任意調査の2種類があります。
強制捜査は、脱税がとても高い確率で疑われる納税者に対して国税局査察部が裁判所の令状をもとに事前通告なしで行われる調査になります。一般的にほとんどが任意調査となります。
2. 任意調査について
任意調査ですと事前に税務署から連絡がはいります。連絡は、納税者様本人か担当税理士へ文書または電話連絡がはいります。任意調査には、実地調査と簡易な接触調査の2つがあります。
実地調査は、その名前のとおり被相続人(亡くなられた方)がお住まいになっていた自宅で行われることが多いです。すでに自宅を処分されているケースですと、相続人のご自宅などになります。実地調査の日時は税務署からいくつか候補日をだされます。候補日に予定がつかない場合には別日での調整は可能です。
もう一つの任意調査は、文書、電話による連絡または税務署への来署依頼による面接により申告漏れや計算誤り当がある申告を是正するなどの簡便は接触による調査になります。
この場合には、具体的な修正箇所が明らかな場合が多く、調査は簡潔におわります。また税務署
からの確認のみで、申告の是正がない場合もあります。
任意調査とはなりますが、原則断らないようにしましょう。任意といっても罰則規定も設定されていますので理由もなく断わらないことが得策です。
3. 税務調査の連絡が入るのはいつ頃?
相続税の税務調査は申告してから1~2年度に行わること多く、ほとんどのケースが3年以内に行われます。3年内に連絡があるかが1つのポイントになります。また相続税の申告は5年が時効(脱税などの悪質性がある場合は7年)となります。そのため通常の場合は、5年を経過すると税務調査・追徴の可能税はゼロになります。
4. 令和4年度における相続税調査の状況
令和5年12月に国税庁が令和4年度の相続税の調査状況についての統計資料を発表しています。
その資料では、実地調査が8,196件行われて、申告もれ等は7,036件、修正の割合は85.8%になります。
簡易な接触調査は15,004件行われ、申告もれ等は3,685件、修正の割合は24.5%になります。この結果からわかるとおり、実地調査が行われると高い確率で追徴課税が行われます。
次に相続税の税務調査の入る割合をみてみましょう。
令和2年度における相続税の申告書提出数は120,372件です。2年後の令和4年に税務調査が行われると仮定した場合、令和4年度の実地調査と簡易の接触調査の合計は23,200件になりますので、相続税申告書提出したうち調査を受けた割合19.3%になります。(実地調査の割合は6.8%)
5. 税務調査が入りやすいケースは?
・遺産総額が多い方(2億円以上)
・財産の申告もれを税務署が把握しているケース(預金や証券、国外財産、百貨店で購入した高額商品など)
・過去預金の動きに怪しい点がある方
・名義預金の可能性が預金をお持ちの方
・税理士に依頼せずにご自身で申告をした方
・申告の必要があるが申告をしていない方
上記に該当するような方は税務調査に入る可能性が高いといわれております。
6. 事前の備えをしっかりと
税務調査にはいられないようにするためにも、また入っても問題がなく終えるために事前の準備をしっかり行いましょう。そして何より当初の申告の際に相続財産を正確に把握しておくことが大切になります。税務調査は人生に何度も経験するものではないので緊張はされると思います。私どもの経験上、一般的な実地調査で、テレビや映画などで連想するような納税者の方が恐れをいだくような調査に出会ったことはありません。ご安心ください。税務調査の連絡があった場合には、担当税理士と準備をして落ち着いて立ち会いましょう。

