相続で本当に守りたいのは「家族の関係」です
新年を迎えると、「これからの暮らし」や「家族の将来」について、少し立ち止まって考える機会が増えるのではないでしょうか。

相続もまた、何かが起きてから慌てて考えるものではなく、元気な今だからこそ落ち着いて向き合えるテーマの一つです。

私たちが相続のご相談をお受けする中で、強く感じていることがあります。
それは、相続では節税以上に「もめないこと」が大切だということです。

相続税は調整できても、感情のもつれは残ります

相続相談の現場では、「相続税はそれほど高くなかったのに、家族関係が壊れてしまった」
というケースが、決して珍しくありません。

相続税は、財産の分け方や特例・控除、納税方法の工夫によって、ある程度調整することが可能です。お金の問題は、制度を理解し準備をすれば対応できることが多いのです。

しかし、相続をきっかけに生じた感情のわだかまりは、簡単には取り戻せません。修復に何年もかかったり、一生残ってしまうこともあります。
そのため、「税金を減らせた=成功した相続」とは、必ずしも言えないのです。

・不公平に扱われたと感じた

・親の気持ちが分からなかった

・きちんと話し合った記憶がない

こうした気持ちの行き違いが、後になって大きな不満となって表れます。
たとえば、同じ金額を相続した場合でも、「親が考えて決めた分け方」であれば納得できるのに、「兄弟で取り合う形」になると、不満が残りやすくなります。

相続税がかからないケースでも争いが起きるのは、このためです。
相続では、「どう分けるか」以上に、「なぜそうしたのか」が重要なのです。

節税を優先しすぎると、争いの火種になることも

節税対策として行ったことが、逆にトラブルにつながることもあります。
・不動産を共有名義にした・特定の相続人に偏った生前贈与をした・説明のないまま名義変更を進めた

その結果、「聞いていない」「不公平だ」「だまされたように感じる」といった不信感が生まれてしまうことがあります。
節税自体が悪いわけではありませんが、説明や納得がない節税は、相続において大きなリスクになるのです。

専門家に早めに相談することの意味

相続専門の税理士が見ているのは、相続税額だけではありません。

・ご家族構成

・財産の内容(不動産・預金・株・生命保険など)

・相続人同士の関係性

・将来起こりうるトラブル

こうした点を含めて、全体を見ながらお話を伺います。
「今は問題がなさそう」に見えることでも、将来のリスクを先回りして整理できるのが、専門家に相談する大きなメリットです。

また、相続の話はご家族同士では切り出しにくいものです。専門家が入ることで、感情的にならず中立的な立場で「一般論として」話を進めることができます。
話し合いの“場”を整えられることも、早めの相談の価値と言えるでしょう。

相続対策は、税金をどれだけ減らせかも大切ですが、本当に大切なのは、相続を終えた後、ご家族が「これでよかった」と思えることです。
新しい年のはじまりに、相続について少し考える時間を持ってみてはいかがでしょうか。
相続のことは、どうぞ早めに専門家にご相談ください。