遺言書を作成する場合、「遺言執行者」を設定することができます。遺言書作成した後に遺言した人が亡くなると、この「遺言執行者」が相続手続きを主導的に行うことになります。今回は、この「遺言執行者」を詳しくご説明します。
1. 遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書の内容が遺言書に記載された通りに実行できるように、各種必要な手続きを巣進めていく人をいいます。
令和1年7月の民法改正以前は、相続人の代理人とみなすという規定でどのようなことができるのか曖昧になっていましたが、令和1年7月の民法改正によって、遺言執行者が行える範囲が法律上明確化されました。これにより、遺言執行者の権限が拡大し、遺言内容をより忠実に守ることが可能となりました。
2. かならず遺言執行者は選定しないといけないのか
遺言執行者は必ず指定しなければいけないものではありません。一般的には、遺言者に遺言執行者が指定されている場合か、相続人が必要に応じて家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てます。
ではどのような場合に、遺言執行者の役割が必要になるのでしょうか。
3. 遺言執行者にしかできないこと
(1) 認知
子供の認知というものは生前に行うことも可能ですが、遺言で行うことも可能です。遺言認知といいます。遺言で子供を認知する旨の記載があった場合には、遺言執行者は就任から10日以内にこの認知届を市町村に届け出をする必要があります。また、この届出は遺言執行者でなければできません。
(2) 推定相続人の廃除・取り消し
推定相続人の廃除・廃除の取り消しは生前に行うことも可能ですが、遺言で行うことも可能です。これを遺言廃除といいます。遺言書に推定相続人の廃除・廃除の取り消しが記載されている場合には、遺言執行者が家庭裁判所に推定相続人の廃除・廃除の取り消しの審判申立書を提出します。
推定相続人の廃除とは、被相続人の意志により相続権をはく奪する制度になります。
例えば、相続人から虐待を受けた場合や、多額の借金をしてその肩代わりさせられた、財産を使い込まれた場合などの場合に可能になります。
(3) 特定遺贈の執行
遺贈とは、遺言により特定の人(相続人以外の人)に財産を与えることを指します。そして特定とは、遺産のうち特定の財産を指定することです。(例:〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号××)。
特定遺贈は、遺言書に友人Aに〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号××を遺贈するというように遺言書に記載されています。
遺言執行者がいれば、遺言執行者単独で登記や手続きを進めることができますので、相続人と受遺者のトラブルを回避することが可能です。
(4) 一般財団法人設立のための財産の拠出・財団の設立
遺言によって、一般財団法人を設立することも可能です。この場合にも、遺言執行者が設立の手続き財産の拠出の履行を行います。
4. 遺言執行者ができること
遺言執行者は単独で次の手続きを進めることが可能です。
・戸籍謄本の収集
・相続財産の調査
・相続財産の売却手続き
・各種名義変更(不動産・株式等)
・預金口座の解約手続き、払い出し
5. 遺言執行者の一般的な役割
(1) 遺言執行者に就職した旨及び遺言の内容を相続人に行う
遺言執行者は、相続開始後、相続人を速やかに確定させます。そして、相続人に遺言執行者に就任したことの通知や遺言書の内容を相続人に通知をしなければなりません。
(2) 相続財産目録を作成し、相続人に交付を行う
遺言執行者は、相続開始時点での財産を調査し、財産目録を作成して相続人に財産目録を交付しなければなりません。
(3) 遺言内容の実現
遺言書の内容に沿って、実際に遺産を分配します。不動産の所有権移転登記の申請、預貯金の払出し、金銭の支払い等を行うこともあります。
6. 遺言執行者の選任方法
遺言執行者は、次の方法により選任されます。
(1) 遺言による遺言者本人が指定
遺言書に遺言執行者になってもらいたい方が指定されている場合、または第三者に遺言執行者の指定を委託されている場合です。
(2) 相続人が遺言執行者の選任をする場合~家庭裁判所への申立
上記(1)の方法で遺言執行者が選任されてなかった場合には、相続人や遺贈を受けた人などが家庭裁判所に申立をし、家庭裁判所が遺言執行者を選任する方法です。この方法は、遺言による指定がない場合や、遺言執行者が就任を拒否した場合などになされます。
7. 遺言執行者が必要な場合
(1) 相続人の相続手続きの負担を軽減したい
たとえば遺言執行者がいれば口座の名義変更の提出書類が少なくてすみます。
遺言執行者がいる場合には、遺言執行者の押印や印鑑証明書の提出で手続きができるのに対して、遺言執行者がいない場合には、相続人全員の押印や印鑑証明書が必要になります。
(2)子供を遺言で認知したい場合
(3)遺言で相続人廃除や取り消しをした場合
(4)相続人以外の方に遺贈したい場合
(5)一般財団法人を設立したい場合
8. まとめ
今回は遺言執行者についてのまとめてみました。遺言執行者の選任がなくても相続に手続きは行えます。遺言執行者は遺言内容をスムーズに実現させるための存在となります。遺言執行者に関して疑問がある方は是非ご相談ください。

