遺言書には、前回説明させていただいた「自筆証書遺言」と公証役場で作成する「公正証書遺言」の2つあります。今回は後者の公正証書遺言についてご説明します


1. 公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、全国に約300カ所存在している公証役場において、公証人が遺言する方からヒアリングして、遺言するという意思と内容を確認して遺言書を作成し、公正証書という形で残す遺言書のことになります。

2. 公正証書遺言の作成方法

(1) 準備

まずは、ご自身の財産がどこにどれだけあるかを把握し、遺言内容について相談したいことや考えをまとめる。または司法書士や弁護士などの専門家に相談し遺言の内容を考える。

(2) 公証役場へ依頼

公証役場に電話等で連絡をとり公正証書遺言の作成依頼をする。当事務所に近くでは、吉祥寺本町(吉祥寺通り沿い)に武蔵野公証役場があります。

(3) 公証人との相談

公証人と遺言内容について相談をします。相談料は無料です。

(4) 公正証書遺言の作成

公証人がパソコンで遺言書(案)を作成する。

(5) 公正証書遺言の作成日時の確定

遺言書(案)が確定したら、遺言者が公正証書遺言をする日時を確定する。

(6) 遺言日当日

遺言者本人と証人2名の前で、公証人が遺言書の内容を読み聞かせ、閲覧をさせて、間違いがないことを確認する。内容に間違いがなければ、遺言者と証人2名が遺言書の原本に署名、押印をします。そして、公証人の署名、職印をして公正証書遺言が完成します。原本は公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が渡される。

3.保管期限

公正証書遺言の保管期間は原則20年になります。20年を超えると破棄されますので、新しく作成をする必要があります。

4.作成費用

(1) 公証人への手数料

公証役場で公正証書遺言を作成する場合には、公証人に支払う手数料がかかります。手数料は法令で定められており財産の金額によって決まります。
財産額が100万円以下だと5000円、5000万円を越えると43,000円などと細かく設定されています。

(2) 証人への日当

公正証遺言の作成には、証人が2名が必要になります。専門家や公証役場から紹介を受けた方に依頼した場合には、数万円の日当が必要となります。知人などにお願いをした場合には、こちらの費用はかからない場合もあります。

5. 公正証書遺言のメリット

(1) 信頼性と安全性が高い

法律の専門家が関与し、公証役場で保管されるため内容の信頼性と安全性が確保されます。遺言書が無効になることはほぼありません。

(2) 裁判所の検認が不要

公正証書遺言執行の際には、裁判所の検認手続きが不要になります。スムーズに手続きが進みます。

(3) 遺言書の自筆が不要

遺言書は、公証役場の公証人がパソコンで作成します。そのため、自筆証書遺言のように遺言者が自筆する必要がありません。

(4) 公証人に出張で遺言書を作成してもらうことが可能

 病気などの体調不良で公証役場に出向くのが難しい場合は、公証人が自宅や病院などに出張してもらうことができます。
法務局が行う自筆証書遺言保管制度のデメリットは、ご本人が遺言書を自筆しかつ、保管手続きをご自身が法務局に出向き行わなくてはいけません。体調不良の方はハードルが高いものになります。この点、公正証書遺言はこの解決することが可能です。

6.公正証書遺言のデメリット

(1) 手数料がかかる

4.で記載した内容の手数料がかかります。自筆証書遺言は無料、自筆証書遺言保管制度を利用した場合には保管料が3900円となります。公正証書遺言の場合には、数万円程度の費用が発生します。

(2) 証人2名が必要

証人はだれでもよいわけではありません。利害関係がない方になります。民法では、推定相続人や受遺者並びにこれらの配偶者や直系血族は証人になれないとされています。
そのため信頼できる第三者の知人や司法書士や弁護士などの士業の方、もしくは公証役場で証人を紹介してもらうことになります。

(3) 遺言者が亡くなっても公証役場から通知はされない

自筆証書遺言は法務局から通知がされるのに対して、公正証書遺言は遺言者がなくなっても公証役場から相続人には通知がされません。

7.遺言者がなくなったら

公正証書遺言を作成した遺言者が亡くなっても、公証役場から相続人に通知はされません。ただ、遺言者には公正証書遺言の正本と謄本が渡されていますので、ご自宅等で相続人がこれを見つけた際にはその内容に従って相続手続きを進めてください。

また平成元年以降作成した公正証書遺言については、公証役場の遺言検索システムで公正証書遺言があるか確認をすることが可能となります。公正証書遺言が保管されている場合には、謄本の交付請求をして遺言書を入手することになります。

遺言検索システムはどこの公証役場でも可能です。謄本の交付請求は、原本が保管されている公証役場でしか行えません。(遠方の方は郵送でも手続きが可能です)