遺言書には、主に自分ひとりで作成できる「自筆証書遺言」と公証役場や証人の支援が必要な「公正証書遺言」の2つあります。今回は自筆証書遺言についてお話します。
1. 自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、自分(遺言者)が、遺言の全文(財産目録は除く)、日付、氏名を自分で手書きをして、押印をする遺言書が出来上がります。
財産目録は、貯金通帳の写しや不動産(土地や建物)の登記事項証明書などの資料を添付する方法で作成ができます。その場合には、全てのページに署名と押印が必要になります。
従来は財産目録も遺言者が手書きで作成する必要がありましたが、平成30年の民法改正によりパソコン等で作成することが可能になり、柔軟性が増しました。
2. 遺言書が無効にならいために守ること
遺言書がルール通り作成されていないと、遺言書に書かれた内容が無効となってしまい、せっかくの遺言者の努力が無駄になってしまいます。
下記の注意点を守り、ご自身の意思をしっかり反映させるようにしましょう
(1) 自分の字ですべて記載をすること(財産目録を除く)
遺言書の全ての文章をご自身で手書きしましょう。代筆は認められておりません。
(財産目録はパソコンで作成をしたり、資料を添付する方法も可能です。その場合は、添付した書類に署名押印をしてください。)
(2) 誰に何を相続させるか明確に記載すること
あいまいに記載をしてしまうとトラブルのもととなります。下記のように財産を明確に記載しましょう。
預金の場合には、〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇
株式の場合には、〇〇株式会社の株式 〇〇株
不動産の場合には、所在、地番、地目、地積となど登記簿に記載されている内容
(不動産を住居表示で記載すると、名義変更ができないなどのトラブルが発生するかもしれませんので、登記簿に記載されている地番で書いてください)
これらを記載するのは大変ですので、別紙1 の財産などと記載をして、通帳の写しや登記事項証明書を添付する方法も可能です。
(3) 作成年月日を明確に記載すること
遺言書を作成した年月日を具体的に記載しましょう。吉日と記載をしないようにしてください。
なぜ作成年月日を記載が求められるかというと、
・遺言書作成時点で、遺言作成能力があるか後から判断するため。
・遺言書が複数見つかった場合、どちらの遺言書が有効かを判断するため。
となっております。このため、作成年月日は明確に記してください。
(4) 訂正・追加・削除はルールに従って行う。
訂正・追加・削除は民法に規定されているルールに従って行います。
訂正したい箇所に二重線を引きます。修正ペンや修正テープは使用できません。
二重線の真上、縦書きの場合には真横に訂正内容を記載します。訂正付近に押印をします。(署名押印する際の印鑑と同じものを使用してください)。そして、遺言書の末尾にどこをどのように訂正したのか記載をしましょう。具体的には、「〇行で〇字削除し、〇字加入した。氏名」となります。
(5) 最後に署名捺印をする
署名は必ず自筆しましょう。また、押印は陰影が不明瞭であったり、薄く消えていないようにしてください、使用する印鑑は、認印でもかまいません。ただ、実印の方が信用性が高くお勧めです。
3. 遺言書の保管場所について
遺言書は、相続人によって内容を改ざんや破棄をされる可能性もあります。ただ、見つからなければ執行されません。そのため、貸金庫や信頼できる他人、または士業の方に預けるのがよいでしょう。
また、自筆証書遺言保管制度というものがあり、法務局で適正に管理・保管をする制度があります。こちらの利用を検討してみるのもよいでしょう。
4. メリット・デメリット
メリットは、費用がかからないこと、いつでも自分で修正ができる、内容を知られることがない点になります。
デメリットは、遺言が無効になる場合がある、遺言書が発見されないリスクがある、改ざんや破棄をさせる可能性がある、相続人は検認の手続きが必要になるといった点になります。
5. デメリットを排除するには
4.で記載したリスクを回避する方法として、「自筆証書遺言保管制度」というものがあります。次回はこちらの制度についてお話したいと思います。

