相続税の申告期限は被相続人(亡くなった方)の死亡日から10か月以内ですが、さまざまな事情で手続きが遅れ、期限ギリギリになってしまうケースもあります。
相続税の申告が遅れると延滞税や無申告加算税などのペナルティが発生するため、ギリギリの状況でも適切に対処することが重要です。期限が迫っている場合の対応策や注意点を詳しく説明します。
1. 相続税の申告期限と基本ルール
相続税の申告期限は、被相続人の死亡日から10か月以内です。例えば、令和7年1月10日に亡くなった場合、申告期限は令和7年11月10日となります。
この期限までに、
- 相続税の申告書を提出
- 相続税の納税を完了
する必要があります。
2. 期限ギリギリになってしまう主な原因
期限ギリギリになる主な理由には、以下のようなものがあります。
① 遺産分割協議がまとまらない
相続人同士で意見が合わず、分割協議が長引くケース。
② 相続財産の調査に時間がかかる
不動産や金融資産が多く、評価額を確定するのに時間がかかる。 海外資産がある場合、手続きが複雑になり遅れやすい。
③ 相続人が遠方に住んでいる、連絡が取れない
遺産分割協議や手続きの進行が遅れる要因となる。
④ 相続税の納税資金の準備ができていない
現金が不足し、不動産の売却などを検討しているうちに時間が過ぎる。
⑤ 専門家(税理士など)への相談が遅れた
自分で手続きをしようとしたが、途中で複雑になり対応しきれなくなる。
3. 期限ギリギリの場合の対応策
① 申告期限までに「仮申告」を行う
遺産分割協議がまとまっていない場合でも、とりあえず未分割の状態で申告することが可能です。
■ 未分割の相続財産の申告ポイント
- 法定相続分で仮に分けた形で申告する
- 小規模宅地等の特例や配偶者控除は適用できない(「仮申告」した後の「更正の請求」などで対応可能)
- 申告後、遺産分割がまとまったら「更正の請求」で税額を修正できる(申告期限から原則3年以内)
これにより、無申告加算税のリスクを回避できます。
② 納税資金を確保する
相続税は原則として現金一括納付ですが、納税資金が不足している場合は以下の方法で対応できます。
- 延納制度の利用(一定の条件を満たせば分割払いが可能)
- 物納制度の活用(現金が不足している場合、不動産などで納税)
- 相続税の納付を優先し、後から更正の請求で税額を調整
特に、延納や物納の申請には手続きが必要なので、税理士に早めに相談することが重要です。
③ 必要書類を最優先で準備する
期限ギリギリの場合、まずは最低限の必要書類をそろえましょう。
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続財産の一覧(不動産・金融資産・その他財産の評価額)
- 預貯金の残高証明書、証券会社の取引明細書
これらをそろえれば、申告書の作成が可能になります。
④ 期限後でも「期限後申告」を行う
もし申告期限を過ぎてしまった場合でも、なるべく早く申告することでペナルティを最小限に抑えられます。
- 申告期限後1か月以内なら、延滞税が比較的軽く済む
- 自主的に申告すれば「無申告加算税」が軽減される可能性
4. 期限を過ぎた場合のペナルティ(罰則)
期限までに申告しないと、以下のペナルティが発生します。
① 無申告加算税
申告期限までの申告書提出を怠ると、税額に応じた無申告加算税が課されます。
- 税務署から指摘前に自主的に申告 5%
- 期限後に申告(50万円以下の部分) 10%
- 期限後に申告(50万円超の部分) 15%
- 税務調査後に申告 20%
自主的に申告すればペナルティが軽減されるため、早めの対応が重要です。
② 延滞税
納税が遅れると、日数に応じた延滞税が発生します。
- 2か月以内 年7.3% or 特例基準割合+1%
- 2か月超 年14.6% or 特例基準割合+7.3%
※ 令和7年の特例基準割合は2.4%なので、実質3.4%~9.7%程度
長引くほど負担が増えるため、できるだけ早く納税することが大切です。
5. まとめ(期限ギリギリでもできること)
- 未分割でも申告できる(仮申告 → 更正の請求で修正可能)
- 納税資金がない場合は「延納」「物納」の検討を
- 最低限の必要書類をそろえて、申告を最優先で行う
- 期限を過ぎても「期限後申告」をすればペナルティを軽減できる
- 税務署から指摘される前に自主的に対応すれば罰則が軽減される
期限ギリギリの相続税申告は焦るかもしれませんが、とにかく早く専門家に相談し、できることから対応するのが最善策です。
